Audiority NeonVerb MV2 は、80年代のラックリバーブ Alesis MIDIVerb II のキャラクターをベースにした、コンボリューション方式のリバーブプラグインです。
オリジナルハードウェアをキャプチャし、そこに現代的なコントロールを加えることで、あのヴィンテージな質感を保ちながらも、より柔軟に扱えるリバーブとして仕上がっています。
Alesis MIDIVerb II は、当時の価格帯では手頃なラックエフェクトとして登場し、ハイファイなリバーブとは対照的なダーク・グレイニー・にじむような独特の質感から、シューゲイザーやアンビエント、ローファイ系のプロデューサーを中心に根強いファンがいるユニットです。
My Bloody Valentine が「Isn’t Anything」の制作で使用したことでも知られ、一部では「カルトクラシック」とも呼ばれています。
ただし、ノイズフロアの高さやプリセット固定(エディット不可)という制約もあり、万人向けの「名機」というよりは、好きな人にはたまらない個性派という印象です。
NeonVerb MV2 は、そのクセのある魅力を忠実に再現しつつ、
モジュレーション、ディフュージョン、トランスフォーマーサチュレーションといった拡張機能でヴィンテージとモダンの良いとこ取りを実現しています。
公式サイトへのリンクはこちらの章から
NeonVerb MV2 ってどんなプラグイン?
NeonVerb MV2 は、Alesis MIDIVerb II のリバーブプログラムをIR(インパルスレスポンス)としてキャプチャし、そこに独自のモジュレーションやエフェクト処理を加えたハイブリッド・コンボリューションリバーブです。
サウンドの方向性としては、現代的なクリーンで透明感のあるリバーブとは真逆で、
少しざらついた粒子感、にじむようなテール、金属的なスミア感が特徴です。
80年代デジタルリバーブ特有の「味がある」質感を求めている人には、かなり刺さるサウンドキャラクターといえます。
アンビエント、ローファイ、シューゲイザー、シンセウェーブ、ドリームポップ系の制作との相性が特に高いプラグインです。
NeonVerb MV2 の主な特徴
2種類のモジュレーションで動きを加える
NeonVerb MV2 には、リバーブに動きを与えるための2種類のモジュレーションが搭載されています。
- MOD:入力段にかかるテープ的な揺らぎのモジュレーション。ワウワウと微妙にピッチが揺れるような、VHSやカセットテープを想起させる少し不安定とも取れる温かみを加えられます。
- SPIN:Lexiconにインスパイアされたリバーブテールへのモジュレーション。テールが左右に広がりながら揺れ、シマー感のある奥行きと幻想的なDecayを生み出します。
MODは「入力をぼかす」、SPINは「残響を広げる」というイメージで、
組み合わせることでヴィンテージの揺らぎとモダンな空間の広がりを同時に得られます。
IR TimeStretchによるDecayコントロール
通常のコンボリューションリバーブでは、IRの長さ=リバーブの長さが固定されがちですが、
NeonVerb MV2 では IR TimeStretch 技術により、IRの音色(ティンバー)を保ったまま長さを自由に変化させることができます。
短く締まったルームから長く伸びるホール的な響きまで、
元のMIDIVerb IIのキャラクターを崩さずにDecayを調整できるため、プリセット固定だったハードウェアの弱点を見事に克服しています。
Alesis式ディフュージョンネットワーク
オリジナルのAlesis MIDIVerb IIにインスパイアされた追加ディフュージョンネットワークを搭載しています。
これによってリバーブの密度と奥行きをさらに加えることができます。
ディフュージョンを上げていくと、初期反射が重なって霧のような残響に変化させることができます。
スカスカに感じる後部残響に厚みを持たせたいときや、より包み込むような空間を作りたいときに重宝します。
アウトプット・トランスフォーマーサチュレーション
出力段にはトランスフォーマーサチュレーションを搭載。
リバーブの出力にアナログ的な質感、偶数次倍音、そしてグルー感を加えることができます。
これにより、デジタルリバーブにありがちな「ミックスの中で浮く」ような音質を、より他のトラックとしっかり馴染むような、温かく太いリバーブサウンドに仕上げてくれます。
スペック一覧
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| リバーブ方式 | ハイブリッド・コンボリューション |
| プログラム数 | 100(オリジナルハードウェアから収録) |
| Pre Delay | テンポシンク対応 |
| Decay | IR TimeStretch 方式 |
| モジュレーション | MOD(入力段テープ揺らぎ)/ SPIN(Lexicon式テールモジュレーション) |
| ディフュージョン | Alesis式追加ネットワーク |
| フィルター | IR LF / HF ダンピング |
| サチュレーション | アウトプット・トランスフォーマー |
| コントロール | Input / Dry / Wet 個別 |
| その他 | MIDIマッピング対応 / リサイズ可能UI |
Audiority XenoVerb との違い
Audiority にはもうひとつの人気リバーブプラグイン XenoVerb(€49)がありますが、NeonVerb MV2 とはコンセプトがかなり異なります。
XenoVerb は、Room・Hall・Plate・Shimmer・Formantなど13種類のアルゴリズムを切り替えて使えるマルチリバーブです。
クリーンなものからクリエイティブなものまで幅広いリバーブを1つのプラグインでカバーする、いわば「万能タイプ」のリバーブとなっています。
一方、NeonVerb MV2 は Alesis MIDIVerb II という特定のハードウェアのキャラクターに特化したプラグインです。
100種類のプログラムはすべてMIDIVerb IIからキャプチャされたIRがベースになっており、「あの時代のあの質感」を正確に再現することに全振りしています。
簡単にまとめると、
幅広いリバーブサウンドが欲しいなら XenoVerb、
80年代デジタルリバーブのヴィンテージ感をピンポイントで狙いたいなら NeonVerb MV2 という棲み分けになります。
対応環境とフォーマット
NeonVerb MV2 は、Windows / macOS に対応し、主要DAWで使用可能です。
対応プラグインフォーマットは以下の通りになります。
- VST3
- AU(Audio Unit)
- AAX
- CLAP
| プラットフォーム | OS要件 | CPU | RAM |
|---|---|---|---|
| Windows | Windows 7 64bit 以降 | Intel i7 以上 | 2GB |
| Intel Mac | macOS 10.13 以降 | Intel i7 以上 | 2GB |
| Apple Silicon Mac | macOS 11.0 以降 | Apple M1 以上 | 2GB |
価格
NeonVerb MV2 は、イントロセール価格 €29(通常価格 €49)で提供されています。
※セール価格は 2026年3月2日までの期間限定です。
公式サイトではデモ版も用意されているので、購入前にサウンドを試すことも可能です(デモ版は1分ごとに3秒の無音が入ります)。
公式サイトはこちら
NeonVerb MV2 を活かせる制作シーン
NeonVerb MV2 は、80年代デジタルリバーブ特有の質感を求めている人にぴったりです。
✔ シンセやパッドに ざらついた80年代的なアンビエンスを重ねる
✔ ローファイ・チルウェーブ・シューゲイザー系の にじむような空間処理
✔ ボーカルやギターに ダークで金属的な奥行きを加える
✔ ドリームポップやアンビエント系の 霧がかった幻想的な空間デザイン
MIDIVerb II のネオンのようなきらめきと粒子感を、DAW上で自在にコントロールしながら現代の制作に持ち込めるのが最大の魅力です。
まとめ
Audiority の NeonVerb MV2 は、80年代の個性派ラックリバーブ Alesis MIDIVerb II のキャラクターを忠実にキャプチャし、TimeStretch Decay、モジュレーション、ディフュージョン、サチュレーションといった現代的な機能で大幅に拡張したリバーブプラグインです。
クリーンで透明感のあるリバーブを求めている人向けではありませんが、
ざらつき・にじみ・金属的なスミア感といった80年代デジタル特有の質感を楽曲に取り入れたい人にとっては、非常に魅力的な選択肢になるはずです。
イントロセール €29 という手頃な価格設定も含め、気になる方はデモ版から試してみることをおすすめします。
